青空文庫

「癩を病む青年達」の感想

癩を病む青年達

らいをやむせいねんたち

初出:「定本 北條民雄全集 上巻」東京創元社、1980(昭和55)年10月20日初版

北条民雄39

書き出し

序章他の慢性病もやはりさうであらうが、癩といへども、罹つたが最後全治不可能とはいへ、忽ちのうちに病み重るといふことはなく、波のやうに一進一退の長い月日を過しつつ、しかし満ちて来る潮のやうに、波の穂先は進んでは退き進んでは退きしつつやがて白い砂地を波の下にしてしまふ。さういふ風に病勢が進行を始めると患者達は「病気が騒ぎ出した」と云ひ、停止すると「落着いた」と云ふ。そして一騒ぎある毎に一段一段と病み重

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