青空文庫

「座右第一品」の感想

座右第一品

ざゆうだいいっぴん

初出:「大毎美術 第十巻第六号」1931(昭和6)年6月

書き出し

縮図の帳面もう大分と前の話ですが、裏ン町で火事があって火の子がパッパッと飛んで来て、どうにも手のつけようがないと思ったことがありました。火の手があまり急に強くなりましたので、家財道具を取り出すという余裕もありませず、イザ身一つで避難しようとします時、何ぞ手に提げて行けるほどの物でもと、そこらを見廻しながら、咄嗟のうちにこれをと思って大急ぎで風呂敷に包んだのは、長年の間に集まっている縮図と写生の帳面

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