ほたる
初出:「帝国絵画宝典」1918(大正7)年7月
書き出し
この図を描くに至つた動機と云ふやうな事もありませんが曾て妾は一茶の句であつたか蕪村の句であつたか、それはよく覚えませんが、蚊帳の句を読んで面白いと思つて居りました。併しそれを別に画にして見たいと云ふ程の考へもなく過ぎました。夏の頃フト蚊帳の記憶を喚び起して、蚊帳に螢を配したならば面白かろうと思ひ付いたのが此画を製作するに至りました径路でした。併し唯螢では甚だ引立ちませんから、美人を主にしたので云ふ…