青空文庫

「認識論」の感想

認識論

にんしきろん

初出:「大思想エンサイクロペヂア 第二巻「哲学」」春秋社、1930(昭和5)年1月

三木117

書き出し

一存在と眞理眞理の概念は知識の問題の中心概念である。それだから我々は先づこの概念の檢討から始めよう。いはゆる模寫説(Abbildtheorie)ほど今日不評判なものはないであらう。誰も自分の考へ方が模寫説であるといはれることを極端に恐れてゐる。模寫説といはれてゐるのは、我々の表象と實在との一致をもつて眞理と考へる思想である。心の外にある物が心の中に映じ、この映像が物に一致してゐるとき、それが眞理で

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