尾崎紅葉とその作品
おざきこうようとそのさくひん
初出:「太陽 第十八巻第九号 「博文館創業二十五週年紀念」増刊号」博文館、1912(明治45)年6月13日
田山花袋約20分
書き出し
一『色懺悔』『夏痩』あたりから、私は紅葉の作物を手にした。矢張、毎朝『読売』の一回を楽んだ方で、『おぼろ舟』のお藤『心の闇』のお粂などは、長い間忘れられないほどの印象を私の頭脳に残して居た。其頃『江戸紫』といふ雑誌が硯友社の人達の手に由つて発行されて居た。それを千駄木の鴎外漁史が評して、『われも紫の一本ゆゑにかの雑誌を愛読するものなり』といふ意味のことを書いた。紫の一本、無論それは紅葉を指して居た…
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