青空文庫

「社会と自己」の感想

社会と自己

しゃかいとじこ

初出:「太陽 第十九巻第十三号」1913(大正2)年10月1日

田山花袋12

書き出し

社会と自己との問題はかなり複雑したものである。時には社会本位になつたり自己本位になつたりする。しかし、社会と自己との交渉が離るべからざるものであるのは、元より言ふを待たないことである。『だツて、現に君達はこの社会に生きてゐるぢやないか。自分一人で生きてゐるやうなことを言つてゐるけれど、この社会がなかつたら、君は何うする!』かういふことを言ふ人がある。そんなことはわかり切つたことである。問題はそれで

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