青空文庫

「紅葉山人訪問記」の感想

紅葉山人訪問記

こうようさんじんほうもんき

初出:「文章世界 第七巻第十四号」1912(大正元)年10月15日

田山花袋18

書き出し

随分もう昔だ。その頃のことを繰返して見ると、いつの間にか月日が経つたといふことが染々と考へられる。尾崎紅葉と書いた返事が来た時、自分は何んなに喜んだか知れなかつたが、其喜びももう想像が出来ない位薄い印象を残してゐるに過ぎない。明治二十三四年頃の紅葉山人の名声はそれは隆々たるものであつた。紅葉、露伴と名を並べて言はれてゐたが、何方かと謂へば、矢張紅葉の方が評判が好かつた。『色懺悔』『此ぬし』それから

1 / 0