青空文庫

「山谿に生くる人々」の感想

山谿に生くる人々

さんけいにいくるひとびと

――生きる為に――

――いきるために――

初出:「改造 第十六巻十一号」1934(昭和9)年10月1日

葉山嘉樹85

書き出し

何たる事であろう。大山は、大山の兄の死を待っていたのだ。という事を十数年後の今になって、ハッキリ知ったのである。大山は、その二人の子供が死んだ、という知らせを受け取ったのは、木曽川の落合川の発電所で働いている時であった。そして今、十数年後、木曽駒ヶ岳、恵那山などの山によって距てられる、天龍河畔の鉄道工事場で、今度は叔母からの通信で、兄が朝鮮で死んだ、ということを知ったのである。その簡単なハガキには

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