青空文庫

「父の墓」の感想

父の墓

ちちのはか

初出:「趣味 第4巻第4号」易風社、1909(明治42)年

田山花袋20

書き出し

停車場から町の入口まで半里位ある。堤防になつてゐる二間幅の路には、櫨の大きな並木が涼しい蔭をつくつて居て、車夫の饅頭笠が其間を縫つて走つて行く。小石が出て居るので、車がガタガタ鳴つた。堤防の下には、処々に茅葺屋根が見える。汚ない水たまりがあつて、其処に白く塵埃に塗れた茅や薄が生えて居る。日影のキラキラする夏の午後の空に、起伏した山の皺が明かに印せられた。堤防の尽きた処から、路はだらだらと下りて、汚

1 / 0