青空文庫

「若き日の室生犀星」の感想

若き日の室生犀星

わかきひのむろおさいせい

初出:「群像 第一七巻第五号五月特大号」講談社、1962(昭和37)年5月1日

佐藤春夫約96

書き出し

若き日の室生犀星佐藤春夫わたくしは明治四十二年、十九歳の春上京してのち、明治末、大正はじめの数年間を、なまけ学生として、本郷の師匠の家の周囲を転々としながら三田に通学してゐた。そのころ二十一二の室生犀星はどこに棲んでゐたものか、毎夜のやうに根津権現うらあたりの酒場に出没して、生来の蛮勇を揮つてゐたらしい。わたくしはもと下戸だから酒場には出入しないから、現場を見たことはない、いつも聞きつたへばかりで

1 / 0