さとうはるおししゅう
初出:夕づつを見て「月光 第三輯」1922(大正11)年11月1日
書き出し
詩集堀口大學に詩集はしがき數奇なるはわがうたの運命なるかな。かつては人に泣かれしものを、いまは世に喜ばるるとぞ。しかも評家は指ざし哂ひて餘技なるのみといふ。或は然らむ。魯なるわれは餘技なるもののために命をささげ來にけらし、志してより二十年のこの朝夕を。かくてわが青春のかたみにと一卷の歌ぐさぞ僅にわれにのこりたる。心すなほなる時には稚き言葉なほおぼつかなく、言葉やや長けにしとおもへば心はすでに彈みな…