しろいめんどりのゆくえ
書き出し
一年老いた父と母と小娘二人との寂しいくらし——それは私が十二の頃の思出に先づ浮んで來る家庭の姿であつた。總領の兄は笈を負うて都に出てゐるし、やむなく上の姉に迎へた養子は、まだ主人からの暇が出ないで、姉と共に隣町のお店に勤めてゐた。町でも繁華な場所に家屋敷はあつたけれど、軒並に賑つてゐる呉服屋や小間物店の間にあつて、私の家ばかりは廣い間口に寂しく蔀が下されてあつた。年に一度、少しばかりの米俵を積んだ…
酒中日記
縮緬のこころ
虫干し