青空文庫

「かの日の歌【一】」の感想

かの日の歌【一】

かのひのうた【一】

初出:「琉球新報」1911(明治44)年10月30日

喪失と記憶孤絶死の受容叙情的憂鬱

書き出し

南の国の黄昏れ、空は紅き笑ひを残して静かなり。想思樹の葉のねむたげにうなだれ、かすかなるうめきをやする。ああ淋しみ、心をなす、植民地の黄昏!椰子の並木を縫ひて、灯火は紅き花と見まがう。その時我が耳に訪づれし悲歌の哀さよ。※小暗き森の奥に、時々もれくる鬱憂の月影。木の葉は眠りより醒めて、あやしき夜色に顫へ出す。忽ち響く恐ろしき獣の声!よろづのものは皆醒めはてぬ。声かれて歯白ろき、獣と思へば、吾はたゞ

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