青空文庫

「ネオン横丁殺人事件」の感想

ネオン横丁殺人事件

ネオンよこちょうさつじんじけん

初出:「アサヒグラフ」1931(昭和6)年10月号

海野十三34
怪奇探偵小説都市の異化叙情的静謐

書き出し

1近頃での一番さむい夜だった。暦のうちでは、まだ秋のなかに数えられる日だったけれど、太陽の黒点のせいでもあろうか、寒暖計の水銀柱はグンと下の方へ縮んでしまい、その夜更け、戸外に或いは立ち番をし、或いは黙々として歩行し、或いは軒下に睡りかけていた連中の誰も彼もは、公平にたてつづけの嚔を発し、「ウウウン、今夜は莫迦に冷えやがる」といったような意味の独言を吐いたのだった。猟奇趣味が高じて道楽に素人探偵を

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