青空文庫

「明るい海浜」の感想

明るい海浜

あかるいかいひん

初出:「週刊朝日」1927(昭和2)年6月15日号

下宿生活季節の移ろい家族不和回顧的静謐

書き出し

一陽子が見つけて貰った貸間は、ふき子の家から大通りへ出て、三町ばかり離れていた。どこの海浜にでも、そこが少し有名な場所なら必ずつきものの、船頭の古手が別荘番の傍部屋貸をする、その一つであった。従妹のふき子がその年は身体を損ね、冬じゅう鎌倉住居であった。二月の或る日、陽子は弟と見舞旁遊びに行った。停車場を出たばかりで、もうこの辺の空気が東京と違うのが感じられた。大きな石の一の鳥居、松並木、俥のゴム輪

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