青空文庫

「隣の家」の感想

隣の家

となりのいえ

下町風土文明開化金銭と人間関係分析的風刺的

書き出し

私達が去年から借りて住んで居る家の左隣は我国の二大富豪の一として知られた某家の一族の邸である。私の家との間に高さ一丈余りの厚い煉瓦塀が立つて、其上に忍び返しが置かれて居る。その塀に接近して建てられた私の家は全く風通しが悪いので今日此頃の暑さが非常である。おまけに塀の上部に隣の庭の高い木立が黒味を帯びた緑をして掩ひかぶさつて居て、その木蔭から発生する無数の藪蚊が塀を越えて断えず私の家に襲来する。蚊遣

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