青空文庫

「自画像」の感想

自画像

じがぞう

初出:「中央公論」1920(大正9)年9月

寺田寅彦45
創作背景季節の移ろい病中苦悩芸術家描写叙情的回顧的静謐

書き出し

四月の始めに山本鼎氏著「油絵のスケッチ」という本を読んで急に自分も油絵がやってみたくなった。去年の暮れに病気して以来は、ほとんど毎日朝から晩まで床の中で書物ばかり読んでいたが、だんだん暖かくなって庭の花壇の草花が芽を吹き出して来ると、いつまでも床の中ばかりにもぐっているのが急にいやになった。同時に頭のぐあいも寒い時分とは調子が違って来て、あまり長く読書している根気がなくなった。今までは内側へ内側へ

1 / 0