青空文庫

「嘘をつく日」の感想

嘘をつく日

うそをつくひ

水野仙子19
創作背景季節の移ろい療養生活叙情的回顧的静謐

書き出し

患者としてはこの病院内で一番の古顏となつたかはりに、私は思の外だんだん快くなつて行つた。もう春も近づいた。青い澄んだ空は、それをまじまじと眺めてゐる私に眩しさを教へる。さうしてついとその窓を掠めて行く何鳥かの羽裏がちらりと光る。私はむくむくと床をぬけ出して、そのぢぢむさい姿を日向に曝し、人並に、否病めるが故に更により多くの日光を浴びようと端近くにじり出る。或は又新しい心のあぢはひを搜しに、ぶらりぶ

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