青空文庫

「俳諧の本質的概論」の感想

俳諧の本質的概論

はいかいのほんしつてきがいろん

初出:「俳句講座」1932(昭和7)年11月

寺田寅彦42
学問的考察思想と実生活文学批評分析的厳粛懐古

書き出し

古い昔から日本民族に固有な、五と七との音数律による詩形の一系統がある。これが記紀の時代に現われて以来今日に至るまで短歌俳句はもちろん各種の歌謡民謡にまでも瀰漫している。この大きな体系の中に古今を通じて画然と一つの大きな線を引いているものが三十一字の短歌である。その線の途中から枝分かれをして連歌が生じ、それからまた枝が出て俳諧連句が生じた。発句すなわち今の俳句はやはり連歌時代からこれらの枝の節々を飾

1 / 0