青空文庫

「乳色の靄」の感想

乳色の靄

ちちいろのもや

初出:「新潮」1926(大正15)年12月号

葉山嘉樹27
下層階級の描写文明開化貧困都市の異化不条理孤絶鬱屈

書き出し

四十年来の暑さだ、と、中央気象台では発表した。四十年に一度の暑さの中を政界の巨星連が右往左往した。スペインや、イタリーでは、ナポレオンの方を向いて、政界が退進した。赤石山の、てっぺんへ、寝台へ寝たまま持ち上げられた、胃袋の形をしたフェットがあった。時代は賑かであった。新聞は眩しいほど、それ等の事を並べたてた。それは、富士山の頂上を、ケシ飛んで行く雲の行き来であった。麓の方、巷や、農村では、四十年来

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