こうふのこ
初出:「解放」1926(大正15)年5月号
書き出し
発電所の掘鑿は進んだ。今はもう水面下五十尺に及んだ。三台のポムプは、昼夜間断なくモーターを焼く程働き続けていた。掘鑿の坑夫は、今や昼夜兼行であった。午前五時、午前九時、正午十二時、午後三時、午後六時には取入口から水路、発電所、堰堤と、各所から凄じい発破の轟音が起った。沢庵漬の重石程な岩石の破片が数町離れた農家の屋根を抜けて、囲炉裏へ飛び込んだ。農民は駐在所へ苦情を持ち込んだ。駐在所は会社の事務所に…
父帰る
防備隊
セメント樽の中の手紙