青空文庫

「竜田丸の中毒事件」の感想

竜田丸の中毒事件

たつたまるのちゅうどくじけん

初出:「家庭新聞」1941(昭和16)年8月21日号

文学不信社会批評社会疎外貧困分析的風刺的鬱屈

書き出し

この二三日来の新聞で龍田丸の中毒事件が私たちを驚かしている。やっと故国へ近づいて明日は入港という時に卵焼の中毒で、九人もの人が僅かの時間のうちに相ついで死んで行ったし、病気でいる人が百二十五名だということは、これまで聞いたことのなかった不幸な出来ごとである。昨晩の夕刊はこの悲しい入港とその同じ船にのって帰って来た名士たちの帰朝談とを報じていた。船の医者やその他の責任者たちはもとより、心から遺憾の意

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