青空文庫

「大阪万華鏡」の感想

大阪万華鏡

おおさかまんげきょう

下宿生活奇人描写孤絶虚構と真実叙情的怪奇憂鬱

書き出し

1北浜の父の事務所から、私は突然N署に拘引された。私がN署の刑事部屋に這入ると、そこには頭髪を切った無表情な少女のかたわらに、悄然と老衰した彼女の父が坐っていた。その周囲を刑事たちが取まいて、中年過ぎた警部によって私たちは取調べられた。戯れ絵のように、儀礼的な刑事部屋で、あぐらをかいた白毛のまじった老警部が私に言った。「——チタ子の父から、君を誘拐罪として告訴状を提出しているのだが、君とチタ子とは

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