青空文庫

「昔の思い出」の感想

昔の思い出

むかしのおもいで

初出:「文章倶楽部」1926(大正15)年10月号

作家の日常創作背景回顧的自己認識内省的叙情的懐古

書き出し

玄関の横の少し薄暗い四畳半、それは一寸茶室のような感じの、畳からすぐに窓のとってあるような、陰気な部屋だった。女学校へ通う子供の時分から、いつとはなしに、私はその部屋を自分の勉強部屋と決めて独占してしまったのである。私はその部屋で、誰にも邪魔されないで、自分の好きなものを、随分沢山書いた。書いて、書いて、ただ書いただけだった。何といっても、まるっきり子供のことではあり、それらをどうしようという気持

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