鴎外・漱石・藤村など
おうがい・そうせき・とうそんなど
「父上様」をめぐって
「ちちうえさま」をめぐって
初出:「読売新聞」1936(昭和11)年10月11、14、15日号
宮本百合子約12分
作家の日常創作背景回顧的文壇交友内省的分析的懐古
書き出し
つい先頃、或る友人があることの記念として私に小堀杏奴さんの「晩年の父」とほかにもう一冊の本をくれた。「晩年の父」はその夜のうちに読み終った。晩年の鴎外が馬にのって、白山への通りを行く朝、私は女学生で、彼の顔にふくまれている一種の美をつよく感じながら、愛情と羞らいのまじった心でもって、鴎外の方は馬上にあるからというばかりでなく、自分を低く小さい者に感じながら少し道をよけたものであった。観潮楼から斜か…
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