青空文庫

「玄海灘密航」の感想

玄海灘密航

げんかいなだみっこう

初出:「文芸首都」1940(昭和15)年8月号

史良7
下層階級の描写孤絶密航歴史的人物の描写回顧的憂鬱

書き出し

荒潮の渦巻く玄海灘を中心にして、南朝鮮、済州、対馬、北九州等の間には、昔から伝説にもあるように住民の漂流がしばしばあったと云われている。或は最初の文化的な交流というものは、概してこういう漂流民を通じてなされたのであろう。——だが面白いことには文明の今日においてさえ、漂流という形を借りたものが又想像以上にあるのである。それが密航である。けれど密航と云っても、そうロマンチックなものではなく、それを思い

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