青空文庫

「故郷を想う」の感想

故郷を想う

こきょうをおもう

初出:「知性」1941(昭和16)年5月号

史良7
喪失と記憶家族不和歴史的人物の描写郷愁叙情的回顧的憂鬱

書き出し

内地へ来て以来かれこれ十年近くなるけれど、殆んど毎年二三度は帰っている。高校から大学へと続く学生生活の時分は、休暇の始まる最初の日の中に大抵蒼惶として帰って行った。われながらおかしいと思う程、試験を終えると飛んで宿に帰り、急いで荷物を整えてはあたふたと駅へ向った。それも間に合う一番早い時間の汽車で帰ろうとするのである。故郷はそれ程までにいいものだろうかと、時々不思議になることがある。成程郷里の平壌

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