てらさかきちえもんのとうぼう
書き出し
一「肌身付けの金を分ける」と、内蔵之助が云った。大高源吾が、風呂敷包の中から、紙に包んだ物を出して、自分の左右へ「順に」と、いって渡した。人々は、手から手へ、金を取次いだ。源吾が「四十四、四十五、四十六っ」と、いって、その最後の一つも自分の右に置いた。内蔵之助の後方に、坐っていた寺坂吉右衛門はさっと、顔を赤くして、俯いた。と、同時に、内蔵之助が「これで、有金、残らず始末した」と、いった。吉右衛門は…
忠直卿行状記
名君忠之
相馬の仇討