かんえいぶどうかがみ
書き出し
一桜井半兵衛は、門弟に、稽古をつけながら(何故、助太刀を、このわしが、しなくてはならぬのか?)と、その理由を、考えていた。烈しく、突出して来る門弟の槍先を——流石に、修練した神経で、反射的に避けながら、声だけは大きく「とう」と、懸けはしたが、何時ものような、鋭さが——門弟が(病気かしら)と、疑うまでに、無くなっていた。そして、羽目板の所に立ったり、坐ったりしながら、囁合ったり、汗をふいたりしている…
稲生播磨守
十万石の怪談
巌流島