じゅもくとそのは
21 若葉の山に啼く鳥
21 わかばのやまになくとり
書き出し
今月號の或雜誌に佛法僧鳥のことが書いてあつた。棲むところはきまつてゐて夏のあひだだけ啼く鳥なのかと思つてゐたら、遠く南洋の方から渡つて來て秋になればまた海を渡つて歸つて行く鳥であるさうだ。私たちの結婚した年であつたから恰度今から十一年前にあたる、武藏の御嶽山に一週間ほど登つてゐた事がある。山上のある神官の家に頼んで泊めて貰つてゐた。ある夜、私は其處の厠に入つてゐた。普通の家のよりずつと廣い厠であつ…
幕末維新懐古談
みちの記
漱石山房の冬