青空文庫

「樹木とその葉」の感想

樹木とその葉

じゅもくとそのは

29 東京の郊外を想ふ

29 とうきょうのこうがいをおもう

下宿生活回顧的郷愁静謐叙情的寂寥懐古

書き出し

日向の山奧から出て來て先づ私の下宿したのは麹町の三番町であつた。其處の下宿屋から早稻田の學校まで、誰かに最初教へて貰つた一すぢ道を眞直ぐに往復するほか、一寸した※り道をもようせずに通つてゐたのが二三ヶ月以上も續いた。散歩をすると云へば靖國神社の境内から九段坂を降りて神田の表神保町の本屋を見て歩く、僅かにそんなことであつた。そのほかに遠出をするといふのは田舍者にとつて如何にも億劫な、恐しいことであつ

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