比較言語学における統計的研究法の可能性について
ひかくげんごがくにおけるとうけいてきけんきゅうほうのかのうせいについて
初出:「思想」1928(昭和3)年3月
寺田寅彦約40分
内省学問的考察文壇交友言語の構造分析的厳粛回顧的
書き出し
言語の不思議は早くから自分の頭の中にかなり根深い疑問の種を植え付けていたもののようである。六七歳のころ、始めて従兄から英語の手ほどきを教えられた時に、最初に出会ったセンテンスは、たしか「猿が手を持つ」というのであった。その時、まず冠詞というものの「存在理由」がはなはだしく不可解なものに思われた。The(当時かなで書くとおりにジーと発音していた)が、至るところ文章の始めごとに繰り返されて出現する事が…
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