青空文庫

「科学と文学」の感想

科学と文学

かがくとぶんがく

初出:「世界文学講座」1933(昭和8)年9月

寺田寅彦66
作家の日常創作背景文学不信分析的回顧的懐古

書き出し

緒言子供の時分に、学校の読本以外に最初に家庭で授けられ、読むことを許されたものは、いわゆる「軍記」ものであった。すなわち、「真田三代記」、「漢楚軍談」、「三国志」といったような人間味の希薄なものを読みふけったのであった。それから「西遊記」、「椿説弓張月」、「南総里見八犬伝」などでやや「人情」がかった読み物への入門をした。親戚の家にあった為永春水の「春色梅暦春告鳥」という危険な書物の一部を、禁断の木

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