青空文庫

「浮世絵の曲線」の感想

浮世絵の曲線

うきよえのきょくせん

初出:「解放」1923(大正12)年1月

寺田寅彦10
学問的考察知性と感性の対立芸術論分析的懐古

書き出し

浮世絵というものに関する私の知識は今のところはなはだ貧弱なものである。西洋人の書いた、浮世絵に関する若干の書物のさし絵、それも大部分は安っぽい網目版の複製について、多少の観察をしたのと、展覧会や収集家のうちで少数の本物を少し念入りにながめたくらいのものである。それだけの地盤の上に、それだけの材料でなんらかの考察を築き上げようとするのである。ちょうど子供がおもちゃの積み木で伽藍の雛形をこしらえようと

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