青空文庫

「庭の追憶」の感想

庭の追憶

にわのついおく

初出:「心境」1934(昭和9)年6月

喪失と記憶回顧的懐古自然と人間の冥通内省的静謐

書き出し

郷里の家を貸してあるT氏からはがきが来た。平生あまり文通をしていないこの人から珍しい書信なので、どんな用かと思って読んでみると、郷里の画家の藤田という人が、筆者の旧宅すなわち現在T氏の住んでいる屋敷の庭の紅葉を写生した油絵が他の一点とともに目下上野で開催中の国展に出品されているはずだから、暇があったら一度見に行ったらどうか。という親切な知らせであった。さっそく出かけて行って見たら、たいして捜すまで

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