青空文庫

「獄中記」の感想

獄中記

ごくちゅうき

大杉73
下層階級の描写回顧的官僚機構の風刺厳粛叙情的孤絶

書き出し

市ヶ谷の巻前科割り東京監獄の未決監に「前科割り」というあだ名の老看守がいる。被告人どもは裁判所へ呼び出されるたびに、一と馬車(この頃は自動車になったが)に乗る十二、三人ずつ一組になって、薄暗い広い廊下のあちこちに一列にならべさせられる、そしてそこで、手錠をはめられたり腰縄をかけられたりして、護送看守部長の点呼を受ける。「前科割り」の老看守は一組の被告人に普通二人ずつつくこの護送看守の一人なのだ。い

1 / 0