青空文庫

「トコヨゴヨミ」の感想

トコヨゴヨミ

トコヨゴヨミ

初出:「早稲田文学」1914(大正3)年3月

田山花袋46
下層階級の描写回顧的孤絶家族不和叙情的憂鬱

書き出し

一雑嚢を肩からかけた勇吉は、日の暮れる時分漸く自分の村近く帰って来た。村と言っても、其処に一軒此処に一軒という風にぽつぽつ家があるばかりで、内地のようにかたまって聚落を成してはいなかった。それに、家屋も掘立小屋見たいなものが多かった。それは其処等にある木を伐り倒して、ぞんざいに板に引いて、丸太を柱にして、無造作に組合せたようなものばかりであった。勇吉も矢張りそういう家屋に住んでいた。「もう二年にな

1 / 0