青空文庫

「白蛇の死」の感想

白蛇の死

しろへびのし

初出:「新青年」博文館、1929(昭和4)年6月号

海野十三34
怪奇死の受容都市の異化憂鬱静謐

書き出し

浅草寺の十二時の鐘の音を聞いたのはもう半時前の事、春の夜は闌けて甘く悩しく睡っていた。ただ一つ濃い闇を四角に仕切ってポカッと起きているのは、厚い煉瓦塀をくりぬいた変電所の窓で、内部には瓦斯タンクの群像のような油入変圧器が、ウウウーンと単調な音を立てていた。真白な大理石の配電盤がパイロット・ランプの赤や青の光を浮べて冷たく一列に並んでいた片隅には、一台の卓子がポツンと置かれて、その上に細い数字を書き

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