青空文庫

「樹木とその葉」の感想

樹木とその葉

じゅもくとそのは

16 酒の讃と苦笑

16 さけのさんとくしょう

作家の日常孤絶病中苦悩回顧的憂鬱静謐

書き出し

それほどにうまきかとひとの問ひたらば何と答へむこの酒の味眞實、菓子好の人が菓子を、渇いた人が水を、口にした時ほどのうまさをば酒は持つてゐないかも知れない。一度口にふくんで咽喉を通す。その後に口に殘る一種の餘香餘韻が酒のありがたさである。單なる味覺のみのうまさではない。無論口であぢはふうまさもあるにはあるが、酒は更に心で噛みしめる味ひを持つて居る。あの「醉ふ」といふのは心が次第に酒の味をあぢはつてゆ

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