青空文庫

「早春雑記」の感想

早春雑記

そうしゅんざっき

初出:「全詩人聯合 創刊号」1928(昭和3)年4月

喪失と記憶孤絶文学不信内省的叙情的憂鬱

書き出し

毎日のやうに隣りの鶏が庭へ入つて来る。鶏が書斎の前をいそいで通るので、いかにも跣足で歩いてゐるやうな恰好をする。羽や鳥冠が立派で、その上雄鶏などはすましてゐるやうな様子をしてゐるので可笑しい。彼等の中に一匹奇妙な鳴声をする雌がゐる。四五日前から地つづきに家主が家を建てゝゐる。今日は午後から曇つて、夕暮から雨になつた。×又春が来る。なげつぱなしにして置いた季節が何処からか又帰つて来た。去年の春にまつ

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