作品数:12作
題名の 意味は 幼児に 漢方薬を 飲ませるための 小さな 銀製の スプーンをいう。実の 母親が 病弱なので 代わりとして 流行り病で 夫を 亡くした 寡婦の 叔母から この上ない 愛情を 注がれ 成長していく 様子が 描かれている。私は 小学生の 頃から 題名だけは 承知していたけど 漱石が 推薦して 世に出たのが 何か 胡散臭い 気配を 感じ 長い間 手に取ることは しなかった。この本は 遅読の 対象の本 としても かなり 知られており 多くの人達に 読書の 秘技を 気づかせる 優れた 作品と 信じる。筋書きの 展開を 注視するあまり 文体の持つ 詩情を 蔑ろにする 雑な 読み方 ばかりでは 勿体無いと 感じるのである。
p40の、ぱくりは、ぽくり、では?
五感をすべてフル活用して文章にしている感じ
中勘助の随筆。イケメンだったが, 義姉と美少女にしか興味がなかったため,交際している女性がおらず, 周囲人たちは気を使っていたのかも。彼のこうした傾向を知った上で読むと,理解できるような気がする。
欅の苗千本を その昔 植え込んで うち一本が 馬場大門に 六百年ものとして 残っていると言う。 烏団扇(からすうちわ)の烏は 種をほじくらないは 可笑しい。 旧の甲州街道と府中街道の 交差点に 高札場もあり 最近 遺跡も出てきた。
弱って行く妹を 仔細に観察して 要所要所を 手帳に書き留めた とあるけど そのような状況のもとにおいて 小説家は 一面において 冷酷になれるということが 驚きである。
早逝した実妹への 追慕の情と 幽玄で静寂な観能の境地が 重なりあって 独特の 雰囲気を 伝える。 能を 対象として 観るだけでなく 中に入り込むと感じた。
今は私はスマホのアプリで指している
慶事と 弔事が 重なったので とりあえず 58歳の勘助は 兄の死を 秘して 結婚式を あげてしまうことに した。 込み入った家庭の事情 を なんとか 切り抜けたいと言う 思いもあったけど 展開は 予想外であった。 浮き立つ気持ちが 伝わってくると感じた。
作者の、中 勘助 さんも80年の生涯を終えてます。時を経た作品をこうして読むと、死という宿命と、現在生きている私たちが、一本の線で繋がっていると感じました。 (断片)とても良いタイトルだな~ と、感慨新たに感じました。リアルで息苦しいが………。
夜中に突然、激しい腹痛に襲われ独り煩悶する。 すぐにでも家人に告げてどうにかして貰いたいのだが遠慮もあったりして、取り敢えずは夜明けまで我慢しようと思う。 この辺りの描写は子供の頃に幾度も経験した「あるある感」満載の箇所だ。 この作品でも、ようやく夜が明けて家人に告げることができて、医者も手配し一安心、ほどなく来診があって病名も判明し、気分的に落ち着く感じが淡々と書かれている、「胆石」だった。 相変わらず激痛はあるが、周囲には見守ってくれている多くの目があるので、夜中に、独りで煩悶したあの孤立感は、もはや存在しない。 徐々に痛みが薄らいでいくのと並行して食欲が戻っていく歓びを、例えば、いつの間にか鈍感に見過ごしてしまっていた自然の移ろいを改めて新鮮に感じたり、口にできる食べ物に今まで感じたことのないような甘露を味わったりするなかで、「生きている歓び」を巧みに描写している。